受験に多読多聴は必要か(1)

受験に多読多聴は必要かという質問を受けることがあります。

結論から先に言うと必須ではありません。

受験においては試験で点数が取れれば合格できるので点数を取るための学習方法は多読に限らず色々あります。

では多読多聴は受験に有効かという観点でいえば有効です。

特に東大・東京外国語大・早慶など、英文の量が多かったり、リスニング問題への配点が多かったりする場合は非常に効果的です。なぜなら量が多くて解き終わらない、リスニングの速度についていけないといった課題を多読多聴で克服できるからです。学校の授業で学んだ知識では、英文は読めても、量や速度に対処し切れません。

量に対処するにはたくさん読解問題をこなすのも良いかもしれません。しかしそれでリーディングの速度は上がったとしてもリスニングの力にはまだ不安が残ります。また、速度を上げる学習にはやさしい英文を読む方が最初は練習しやすいので、個人的には「難しい英文を丁寧に読む練習」と「やさしい英文で速度を上げる練習」を分けて行うほうがおすすめです。

たくさんリスニングの問題をこなすのも良いかもしれません。その時に注意してほしいのは、リスニング学習の初期段階ではやさしい英語をたくさん聞いて欲しいということです。わからない英語を聞き続けてもリスニングの力は伸びません。わかるものをたくさん聞く、そうなるとそれはもう多読多聴の学習ですね。

もちろん英語の苦手な子がやさしい英文を通して学び直す目的でも多読多聴を利用できます。その場合は多読多聴だけでなく基礎知識(文法・語彙・読解)も合わせて学習に取り入れたほうが良いでしょう。多読多聴は学んだ知識を実際に使いこなす練習なので知識の習得には不向きです。

結論として

学校英語 = 基礎知識の習得 (文法・語彙・精読)
多読多聴 = 学んだ知識の運用 (速読・リスニング)

という側面があるため、学校英語の知識だけで入試問題に対処できる場合は多読多聴がなくても問題ありません。学校英語だけでは対処し切れない場合は多読多聴で読む速さを上げたり、リスニングの力を伸ばしたりすることをおすすめします。

 

P.S. なお受験という観点からは外れますが多読多聴には次のような利点もあります。

〇英語で本を読む力がつく
〇リスニングの力を伸ばせるので英会話の土台ができる
〇幅広い英語表現に触れるので英会話で自然な表現を使えるようになる
〇上記2つの結果として英会話へと自然に移行できる
〇好きな本を選んで楽しく学習を進められる (最初に難しい本を選ぶと挫折しやすいので注意が必要)

受験にも有効で、受験以外にも役に立つ。
しかも朗読音声を聞きながら本を楽しむだけ。
必須ではないにせよ、やらない理由が思いつきません。

本と朗読音声を準備するのがやや大変なのと、基礎ができていないと本のレベルを上げづらいのが難点ではありますが。

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